
ハムソベの豆知識|プロが教えるハム・ソーセージ・ベーコンの基本
ハム・ソーセージ・ベーコン(ハムソベ)は、私たちの食生活に身近な食材です。しかし、その製法や種類の違いを詳しく知っている人は少ないかもしれません。本記事では、ヨーロッパで培われた加工技術やハム・ソーセージ・ベーコンの特徴について詳しく解説します。
ハムソベとは?
ハム・ソーセージ・ベーコンは、多くの人にとって馴染み深い食材です。本記事では、これらを総称して「ハムソベ」と呼びます。普段何気なく食べているハムソベですが、その歴史や製法には奥深いものがあります。ここでは、ハムソベの基本を学びながら、それぞれの特徴を見ていきましょう。
ヨーロッパから生まれた食肉加工技術
食肉加工品は歴史が古く、古代ローマ時代から販売されていました。当時のハムやソーセージの加工技術は、保存性を高める目的でヨーロッパ各地で発展しました。
最初は塩漬けした肉を自然乾燥させるだけのシンプルな方法でしたが、スパイスの出現や燻煙といった加工技術の向上に伴い、保存食としてよりも肉の旨味を引き出すことや、そのもののおいしさが追求されるようになりました。
現在、ハムやソーセージを販売する専門店は、ドイツでは「メツゲライ」、フランスでは「シャルキュトリー」、イタリアでは「サルーミ」と呼ばれ、食文化に深く根付いています。日本では明治5年、長崎で初めて日本人によるハムが作られ、日常生活に浸透しております。
ハムとは?
ハムは、主に豚のモモ肉を塩漬けし、乾燥や燻煙、加熱を行った加工肉です。
「ハム」という言葉は本来、豚の後脚(モモ肉)を指しますが、近年では部位を問わず、ロースや肩肉を使用するものもあり、原料や製法によって多種多様な種類が存在します。
ハムは世界中に100種類以上あるとされ、それらは「生ハムタイプ」と「加熱ハムタイプ」の2つに大別できます。
生ハムタイプ
塩漬けした豚肉を長期間乾燥または低温で燻煙し、熟成させたものです。
熱処理せずに長期間かけて乾燥させるか、冷燻(16~22度の低温で燻煙)を施したり、製法は国によって異なります。
イタリアやスペインでは風乾(自然乾燥)だけで仕上げるのに対し、ドイツでは燻煙するのが主流となっています。長期の熟成期間中に保存性と風味が徐々に向上し、ねっとりとしたものから、しっかりとした歯ごたえのあるものまで、種類によって異なります。
加熱ハムタイプ
塩漬けした肉をボイルや蒸気加熱し、必要に応じて燻煙を行ったものです。
ロースハムやボンレスハムなど、日本で親しまれているハムの多くがこのタイプに該当します。熟成期間が短く、肉の水分が保たれる分、保存性は生ハムよりも劣るが、しっとりとした食感に仕上がります。
ソーセージとは?
ソーセージは、細かく刻んだ肉に香辛料を加え、ケーシング(腸)に詰めたものです。
主原料には豚をはじめ、牛、鶏、馬、羊などの各種蓄肉のほか、製品によっては、内臓や血、舌などの副産物を使うものもあります。使用する原料肉や香辛料の配合などは、各国の気候風土や嗜好性などが取り入れられ、さまざまな種類のソーセージが作られています。
フレッシュソーセージ(生ソーセージ)
新鮮な豚肉を用い、香辛料や調味料を加えて腸詰めしただけのものを指します。
食べる際には必ず加熱が必要で、焼き専用のソーセージになります。あまり日持ちはせず、日本では衛生上の問題もあり、レストランや専門店以外で流通することはほとんどないが、イギリスやイタリアなどでは一般に普及しています。
ドライソーセージ(乾燥ソーセージ)
ひき肉に調味料や香辛料を加え、練り合わせケーシングに固く詰め、乾燥したものを指します。水分を徐々に蒸発させながら熟成させて作るソーセージで、乾燥度によって硬いドライソーセージと比較的やわらかいセミドライソーセージに分けられます。
比較的どれも保存性が高いのが特徴で、含水率が低いほどより長期間保存ができます。日本では主流ではありませんが、海外のほとんどのドライソーセージは発酵タイプであり、乳酸菌スターターを加えるものも多いです。
スモーク&加熱ソーセージ
燻煙後に加熱処理を施したソーセージで、日本でよく目にするソーセージの多くがこのタイプに分類されます。燻煙せずに蒸煮だけで仕上げるものや、加熱後に燻煙するものがあり、燻煙する際は、煙の香りを均一につけるため、表面を乾燥させるのが一般的です。
クックドソーセージ(調理ソーセージ)
内臓や血液を使用し、加熱処理したソーセージです。内臓や頭、血、皮などの副産物を加えて作る場合、これらの部位は雑菌が多く、いたみやすいため必ず加熱して殺菌する必要があります。レバーソーセージやブラッドソーセージなどが代表的なソーセージに当たります。
ベーコンとは?
ベーコンは、主に豚のバラ肉を塩漬け・燻煙し、乾燥させたものです。ヨーロッパでは加熱せずにそのまま販売されることが多いですが、日本では食品衛生上の規制から、加熱処理されたものが一般的です。
元々ベーコンは寒い冬の間、豚肉を保存用に枝肉のまま塩漬していたのが始まりです。ヨーロッパ、特にイギリスでは、ウィルトシャーベーコンのように豚の半割にした枝肉を塩漬して燻製したものを指しますが、現在では使用する部位によって、ベリーベーコン、ロースベーコン、ショルダーベーコンと名付けられるようになりました。
バラ肉を使用したベリーベーコンが最も普及しており、単にベーコンといえば通常これを指します。
まとめ
ハム・ソーセージ・ベーコン(ハムソベ)は、長い歴史の中で培われた加工技術によって生み出されてきました。それぞれの製法や特徴を知ることで、より一層おいしく楽しむことができます。次回、ハムソベを手に取る際には、ぜひ製法や種類を意識してみてください。