豚の飼育ライフサイクル
日本では、繁殖から出荷まで一貫して行う農家が多く見られます。しかし、繁殖用と肉用の豚では飼育方法が異なるため、豚舎もそれぞれに分かれています。例えば、「妊娠豚舎」や「分娩豚舎」といった専用のスペースが設けられています。
繁殖用の豚は、出生後約1ヶ月で離乳し、雌は8ヶ月齢から種付けが行われます。妊娠期間は114日で、1歳ごろに初産分娩を迎え、1回の出産で10頭程度の子豚を産むことが一般的です。
↑ 2日前に生まれたばかりの子豚の赤ちゃん。ほんとに可愛いですね ...
一方、肉用の肥育豚は離乳後すぐに肥育を開始し、成長段階に応じて飼料を変更しながら育てられます。体重が約110kgに達したら出荷されます。一般的に、豚は生まれてから約半年で出荷されることが多いです。
牛と違い、豚のトレーサビリティシステムは確立していませんが、飼養する群ごとに使用した飼料や医薬品、豚舎の移動などを記録することが多いです。特に、農場HACCP認証基準に基づく衛生管理が求められています。
えさの種類
豚は雑食動物であり、胃が1つしかありません。そのため、食事の内容は成長段階や飼養目的に応じて変更されます。主にトウモロコシ、麦類、大豆油カスなどを基本とした配合飼料が多く与えられています。この配合飼料は、豚の消化能力に合わせ、栄養素が効率よく活用できるよう工夫されています。
豚が必要とする栄養素は、繁殖用、肥育用といった飼養目的や月齢、体重によって異なります。例えば、妊娠中の母豚には繊維質を配合した低カロリーの飼料が与えられ、離乳直後の子豚には粉ミルク中心の飼料からトウモロコシ中心の飼料に徐々に移行します。
飼料の影響
飼料は肉質にも影響を及ぼします。以下にいくつかの飼料の例を挙げます。- 麦:肉にほのかな甘味を与え、霜降りになりますが、与えすぎると肉に締まりがなくなることがあります。
- 飼料用米:脂肪が白く硬くなり、すっきりとした味わいになります。
- イモ類:脂肪が白く硬く、肉質を改善します。
近年注目されている「エコフィード」は、食品加工や厨房残さを活用した飼料です。乳酸発酵によって肉質の向上が期待されます。
当工房の紹介
ハム工房HISAMATSUでは、茨城県つくば市の自家農場で特別に育てた「いも豚」を使って商品をお届けしています。「いも豚」とは、さつまいもをたっぷり含んだ特別なエサを食べて育った豚のこと。カロリーの低いいもを食べて育つため、他の豚より1~2週間ほど長く時間をかけて成長します。その間に、さつまいもに含まれるデンプンが体の中でゆっくりと良質な脂に変わり、甘みのあるとろける脂身と、しっかりとした旨みが詰まったジューシーな赤身が生まれるのです。
同じ種類の豚でも、育て方やエサの工夫で味が変わるのが、養豚の面白いところ。「いも豚」の美味しさの秘密は、こうした生産者のこだわりと愛情によって支えられています。
そして私たちの手造りハムソーセージは、生産効率よりも「美味しさ」を大切にしています。少し手間がかかっても、皆さまに最高の味わいを届けたいという思いで、手造り製造をしております。ぜひ、特別な味わいをお楽しみください。