美味しさは原料で決まる。職人が選ぶ豚肉のこだわり
私たちハム工房 HISAMATSUは、もともと養豚農家として自分たちの手で豚を育ててきました。原料となる豚肉と真剣に向き合いながら、ハムやソーセージを手作りしてきた歴史があります。
長年、自家農場で豚を育て出荷してきたからこそ、どんな飼料を与えるとどんな味わいや肉質に育つのか、肌感覚で分かるようになりました。ただ、同じ飼料や環境で育てた豚でも、一頭ごとに個性があります。脂の乗り方も、赤身の締まり方も、微妙に違うのです。
だからこそ私たちは、仕入れの段階から加工の現場まで、原料となる豚肉と一頭ずつ丁寧に向き合うようにしています。
なぜ原料の肉質にこだわるのか
ハムやソーセージの原料肉は、鮮度が命です。時間が経過すると、肉の保水性や結着性が少しずつ低下していきます。すると焼き上がりの食感や香りにも、はっきりと違いが出てきます。

原料の肉次第で、ソーセージの仕上がりはまったく違うものになるのです。特に鮮度が落ちた肉を使うと弾力が失われ、パサついた食感になってしまいます。逆に新鮮な肉を使うと、肉に含まれる水分と脂肪がしっかりと結びつきます。噛んだ瞬間にじゅわっと肉汁があふれ、弾力のある仕上がりになります。
この食感を引き出せるかどうかは、原料選びと職人の腕にかかっています。健康で新鮮な豚肉を原料とすることが、私たちのものづくりの出発点です。
ハム工房 HISAMATSUが選ぶ豚肉の条件
加工用の原料として私たちが選ぶのは、健康な雌豚または去勢豚です。雄豚は特有の臭みがあるうえ、結合組織が多く、脂肪の混ざり方も劣ります。肉質が粗くて硬くなりやすいため、ハムやソーセージの原料には適しません。
さらに私たちがこだわるのは、屠畜のタイミングです。適した豚肉は、生後160日から180日、体重110〜120kg程度で育った豚から得られます。枝肉の重さでいえば、77〜80kgのものが理想です。この段階の豚は、適度な脂肪と赤身のバランスが取れています。
ハムの原料としても、ソーセージの原料としても、この基準は変わりません。加工に適した、締まりのある肉質に育った美味しい豚肉を用いています。
見た目でわかる、良質な豚肉の見分け方
良質な豚肉は、見た目からも判断できます。色は明るく光沢のあるピンク色をしています。キメは細かく、指で押すとしっかりとした締まりを感じます。カットしたときに出る肉汁、いわゆるドリップは少なく、脂肪は白くしっとりとしています。表面に自然な粘りがあり、保水性の良さがそのまま伝わってきます。

私たちは仕入れのたびに、この見た目と手触りを一頭ずつ確かめています。数値だけでは測れない、肌感覚での判断も欠かせません。
赤身と脂肪、塩が生み出す職人の技
理想的なハムソーセージの原料は、赤身と脂肪のバランスが絶妙に取れています。脂肪の甘みと赤身の旨味が調和することで、豊かな風味が生まれます。もうひとつの決め手が、塩の使い方です。塩には、肉のたんぱく質を変性させて結着性を高める役割があります。適量の塩を加えてよく練ることで、組織がしっかりとまとまります。
ジューシーな食感が生まれるのは、この工程があるからです。ただし、塩が多すぎると味が濃くなりすぎてしまいます。原料の状態を見ながら塩加減を微調整するのが、職人の技です。この積み重ねが、私たちのハムソーセージの味わいをつくっています。

ハムソーセージのおいしさは、原料となる豚肉でほとんど決まると私たちは考えています。精肉としても十分においしい豚肉を、贅沢に原料として使うこと。それが、ハム工房 HISAMATSUのものづくりの姿勢です。
豚と向き合ってきた年月の分だけ、原料選びへのこだわりも積み重なってきました。私たちが選び抜いた豚肉から生まれるハムやソーセージを、ぜひ味わっていただけると嬉しいです。
筆者について
久松勇斗
ECエンジニアから、ハム職人へ。
2021年に新卒でアクセンチュアに入社し、大手企業のECサイトをつくるエンジニアとして経験を積んできました。現在はその経験を活かし、家業であるハム工房 HISAMATSUのオンラインストアを運営しています。
IT業界から食肉製造業へ。将来はハム職人として家業を継ぐことが目標です。今はECを通じて、手づくりハム・ソーセージの魅力を全国へ届けています。
一番好きな商品はアイスバイン。